ダイナミックオーディオ5555 店長 川又さま
お世話になります。
H.A.L.'s E.S.Insulatorの自宅試聴ありがとうございました。
いつも通り迅速に手続きをして頂いたおかげで、連休にたっぷり試聴し効果を実感することが出来ました!
Devialet用とソース用で3セット貸し出して頂きましたが、まずソース機器のみに使用して試聴、ついで
Devialetにも追加して試聴しました。
Devialetに使用した時が一番効果の度合いが高かったのですが、結果として追加していくことで同じ効果が
増していく方向だったので、まとめて試聴した印象を述べます。
最初に表明してしまいますが、僕のインシュレーターに対するスタンスは、”インシュレーターは難しい。
滅多に変えない。変えたくない。”です。
その理由は、何を使っても音が変わり、どれも効果は感じるものの、メリットとデメリットが相半ばしてい
て落としどころを見つけられるまでキリがないと思っているからです。
冗談でラックの棚板にボードを載せて、インシュレーターをかませて機器を置く、ではなくて、さらにボード
もう一枚ボード…これが一番いい音!みたいな笑い話がありますが、本気で取り組んだら、自分も何枚もボー
ドやインシュレーターを使いたくなるだろうなと思わずにはいられません。
従って、機器の下にはタカラは埋まっていないと“思い込み”、もっぱら設置の安定感と審美的に許容できるか
を優先し、音質については明らかな後退がない限り以前から使っているインシュレーターを使用するか、使わ
ないで直置きにするかにしています。
ここまでで言い訳なのがバレているでしょうから白状しますが、機器の下に何かを置いたらめんどくさいこと
になるとヒネテいるのですね。
では本題。ラックの木製棚板と機器の間に使用しています。
長々と脱線した挙句に正反対のことを申し上げますが、H.A.L.'s E.S.Insulatorの一番素晴らしい点は、確かな
効果を示しながら、機器と直接接している物体としてのクセが感知できないくらい少ないということです。
つまり低域が豊かになるものの、チューニングが曖昧になってしまうとか、見かけ(聴きかけ?)上の定位が
よさそうにして細くなってしまったり、埋もれがちな細かい音を聴こえやすくする一方、どの音もやせて
スカスカ・ギスギスするということがありません。
H.A.L.'s E.S.Insulator設置後は、ピアノのハンマーが弦を叩く立ち上がりのインパルス、弦の響き始めから
消え際、筐体の鳴きのすべてが時間的にスムーズに移行し、どれも均整がとれた大きさとテクスチャーで聴こ
えてきます。
スネアやシンバルなど、細かい音の粒立ちがつぶれてしまうことなく精細にわかりますが、行き過ぎてつながり
を失い散り散りに分かれてしまうことなく、一つの音の連なりカタチを保っています。
ボーカルは白眉で、まるで自分がアーティストの目の前のマイクの中に入って、そこに吹き込まれている様を
覗いているかのように近しく生々しく聴こえてきます。
あまりに生々しいので、録音によってはスピーカーから試聴位置までの距離ではなく、マイクとボーカルや
楽器の音を拾ったマイクとの距離感が情報として聴こえてきてしまうほどです。
声はスピーカー間の中央に定位しているのに、その声自体は、そこから少し離れた位置から吹き込まれている
ことがはっきり感知できてしまうのです。
また、音の位置が前後左右上下とも安定して自然に定位します。
自然にとは、定位したボーカルや楽器の音像に、現実には聴きえない輪郭の強調や縁取りのようなものを感じ
たりしないという意味です。
同時に、静電気や電磁波に対する作用なのか、何もない空間に“より”なにもないという変化に気がつきました。
試しにH.A.L.'s E.S.Insulatorを外すと、何もなかった背景が視覚的に灰色っぽく浮いて感じられ、ノイズかな
にかを感知してしまうのでしょうか、全体のコントラストが下がってしまうように聴こえてしまいました。
どの音も埋もれず、且つ浮いたり、悪目立ちすることがないため、聴こえてくる音の数は増えているものの、
音楽として調和がとれています。
いわゆる“盛った”インシュレーターと比べると、一聴dumpした素っ気ない、死んだ音のように聴こえるかも
しれませんが、それとは明確に異なります。
視覚的に例えると、市販されているTVの見かけの精細感とキャッチーな色付けに慣れた目で、初めてマスター
モニターを見たとき感じる印象に近いでしょうか。
当初は色が薄く、輪郭は淡く、暗く、何となく眠い、味気ない画像に見えます。
しかし、目が慣れてくると、そのバランスでこそ画面全体が違和感なく俯瞰できるようになり、輝度、色調、
濃度などの階調が細大漏らさず精密に表示され、映像制作者の意図が確認しやすいまさにモニター画像である
ことが分かります。
H.A.L.'s E.S.Insulatorでは音にして、明暗、濃淡、立ち上がりや消え際の姿まで音の骨格や肉づきを含めて
丁寧に描写するように変化しているのが明らかです。
痩せたのではなく歪みが減って素の録音の意図が感じとりやすくなっているのです。
くどいようですが、生来の物ぐさもあって、どれほど特定の効果に優れていても、使用前よりボリュームが
大きくなったと感じられたり、ボリュームを上げようとすると耳障りになるインシュレーターは(何かを強調
する:意図的に歪みを生じている)ラウドネスインシュレーターと疑って採用しないことを信条にしています。
ところが、どこにも強調感がないH.A.L.'s E.S.Insulatorは、ボリュームを上げても全くうるさくなることが
ない(逆に歪みが減って静かになったように感じる)ので、使用前よりボリュームを上げて聴くことができます。
一般にボリュームを上げるとダイナミックレンジも広がるので、さらに音質上のメリットを実感できます。
唯一の懸念として、MAGICO S7のツイーターがとばないことを祈りながら。。。
当初感じた味気なさとは、実は脚色のなさであり、微妙な音色の違いやハーモニーそれ自体とその重なる様を、
(位置情報まで含めて)埋もれさせることなくありのままに表現していることが実感できたら、あとは何を聴い
ても楽しめますね。
このアクセサリーはアーティストとエンジニアが何をどう聴かせたいかを体験することを楽しみたい場合に
最適な選択肢ではないでしょうか。
反対に低域の量感、高域の透徹感、澄み切った音場、アタックの強さ、電子音のディストーションなどを自分
好みの美音に仕立てて楽しみたい場合には、その落差に幻滅することになりそうです。
DevialetやPCは多くの機器の中では比較的軽量なので、H.A.L.'s E.S.Insulatorの材質との相性の良さもある
のかもしれません。
しかし、どんなラックに置いても、何を敷いても、設置した物体のクセがどうして音に出てしまうことが不可避
のオーディオ機器にあって、H.A.L.'s E.S.Insulatorは置いたところのクセを感じにくくするという、インシュ
レーターとしては非常に珍しい効果が期待できるという点が画期的です!!
ゴテゴテしてないですし、価格も今やこの業界ではホッとできる範囲かと…
設置系アクセサリーで悩ましい時や、いろいろ使い過ぎて取っ散らかって困っている場合には、
まずH.A.L.'s E.S.Insulatorから始めてみるのが成功への近道と感じました。
さて、早速どこから導入しようか思案します。
まだ試せていない機器がいくつかあるのです。。。
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K.T 様 ありがとうございました。
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