オーディオ評論家 貝山 知弘 先生より Λ3.16 The Anniversary の評価を頂きました

オーディオ評論家 貝山 知弘 先生 Tomohiro Kaiyama

[オーディオアクセサリー銘機賞2016『特別大賞』受賞モデル]

 



限りなく「精度」を継承した記念モデル聴くものを驚愕させたΛ3.16の限定版

 ケーブルで接続するわけでもなく、また床以外の何かに直接接触するわけでもない。
手のひらサイズのボディを置くだけで音質改善効果を発揮する。
そんなΛ(ラムダ)3.16シリーズが登場した時、おそらく多くのユーザーは「そんな馬鹿な」と感じただろう。
しかし、実際に効果を体験したユーザーからは驚愕の声が相次ぎ、急速に注目度を高めていったのがAiTEC(アイテック)のルームフレッシャーΛ3.16シリーズだ。この度、同シリーズの登場5周年を記念した限定モデルとなるΛ3.16 Anniversaryが登場する。
 オーディオアクセサリー銘機賞『特別大賞』も受賞した本モデルの音質改善効果は、最上位にまさるとも劣らないものとなっている。

一度その時サウンドを聴くともう手放すことはできない


 AiTECの製品には他の機器では得られぬ効果がある。私は同社の製品Λ(ラムダ)3.16 Premiumを使用しているが、いまでは私の試聴室『ボワ・ノアール』のオーディオ再生において欠くことのできない存在となっている。Λ3.16Premiumは、全体が金属製で直径8cmの円形台座の上に磨き上げた円錐状の金属を乗せ、その頂上には細い金属製の円柱をつけたルックスで、置物としても美しい。そしてなによりも、精密に研磨された表面の加工精度はずば抜けて高い。そればかりでなく床につく底面まで精度の高い研磨が行なわれている。左右のスピーカーを結んだ線の中央より89cm手前に正確に置くことが最大の効果を発揮するための必須の条件となっているが、その効果は非常に大きく、一度その時サウンドを聴くともう手放すことができなくなってしまう。唯一の問題は、価格が46万円と高価なことだ。この製品の価値が分かれば納得できるが、誰にでも推挙できる額ではない。
 そんななか今回、Λ3.16シリーズ登場の5周年記念にあたり、Λ3.16 Anniversaryが登場した。Premiumに限りなく近い効果が得られるという本機の価格は31万6000円。15万円近く安い価格が設定されている。

基本的な音調は変わらずとも音場全体のクリアネスが向上


 この製品の試聴は、自宅の試聴室『ボワ・ノアール』で行なった。試聴に使ったのはアキュフェーズP‐900+DC‐901、C‐3800、A‐200×2と、スピーカーにフォステクスG2000a×2である。ソースはわたしがレファレンスとしているCDとSACDの中から、ヒラリー・ハーンの『モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番』を選んだ。
 このシステムは何も加えない状態でのサウンドも素晴らしい。音域は広くローエンドは底まで低く沈み込みハイエンドはすっきりとどこまでも延びている。全音域でのバランスが取れ、力感と解像度が両立し、ハイスピードで低音域の締まりがいい。次にΛ3.16 Anniversaryをセットしての試聴を行うと、基本的な音調は変わらずとも、音場全体のクリアネスが一層高くなり、ハーンの弾くヴァイオリンの音がより活き活きと響くようになった。この変化にはすぐに気づく。耳を凝らして聴いていくと、この響きの活性化はバックのオーケストラの音にも現れている。この変化は、画家が自作に加える最後の一筆を連想させる。その一筆があってこそ生まれるものがあるのだ。
 シンプルな構造に見えるアクセサターでなぜこれだけ音が変るのか。その理由は公開されていない。そもそも、このアクセサリーの根幹にある原理そのものが極秘なのだ。これは文系だった私の拙い想像だが、恐らく部屋にある電磁波の影響を抑えているのではないかと思う。一般家庭の電磁波の量はそれほと多くはないはずだが、オーディオの機器が数多くある部屋ではその量はかなり多くなるとみていいだろう。


Premiumと比べても起こる現象はほぼ同じ

 最後に私が保持しているΛ3.16 Premiumを聴き、Λ3.16 Anniversaryとの違いがあるかどうかをテストしてみた。Λ3.16 Premiumに変えても、起こった現象は変わらない。少し変ったと思うのは音場全体のクリアネスがさらに高くなり、ハーンの弾くヴァイオリンの音が一層活き活きと聴こえたことだ。このわずかな差がでる原因はどこにあるのか? 河西氏に訊いてみると、本体の全体の精度や、特に底面を研磨する方法の違いだと教えてくれた。前にも書いた通り、Premiumの底部の研磨は金属研磨の達人が
手仕事で研磨したものであるのに対し、Anniversaryの研磨は機械で行なっているとのこと。機械よりも正確な人間の手腕の物語は何度も聞いている。高い工作精度は、日本の中小企業の宝なのだ。Anniversaryを機械研磨としたのは、その分の出費を抑え、リーズナブルな価格にしたかったからだと開発者の河西氏は語った。
 トータルで考えると、Λ3.16 Anniversaryは極めてハイCPの製品である。限定製品だけに早い購入をお薦めする次第だ。

連想するのは「画家の最後の一筆」この一筆が生み出すものがある