オーディオ評論家 林 正儀 先生より Λ5.3 の評価を頂きました
長野に本拠を置く革新的なブランド・不思議なアイテムの威力に驚いた
「まず、聴いてみて下さい!」。何の説明もなく、Λ5・3シリーズ(以下Λ5・3)という電源アイテムのセットされた状態の音を聴いて驚いた。何と生き生きした気持ちの良い響きだろう。まさに音楽そのもの。だがさらにのけぞったのは本機を外したあとだ。これは同じボリューム位置と思えない。あまりの落差に唖然とするようだが、アンプをグ~ンとパワーアップしたような音の活力や低音の圧倒的な量感も、この不思議なアイテムの威力と気付かされた次第だ。私とAiTECとの出会いは、こうして始まった。 AiTECは諏訪に本拠を置き、オーディオコンサルタントでもある河西秀明氏が所長を勤める革新的なブランドである。多くのユーザーと接してきた実践的な経験から、いかにすれば感動的な音楽を楽しめるかを研究してきた。Λ5・3はそうした成果のひとつである。日本の劣悪な電源事情、すなわち100Vという低電圧で、かつ電圧と電流の位相ズレが生じることが問題なのだ。電力のピークで頭がつぶれたり、その波形が歪んで音質そのものを劣化させる。 Λ5・3はご覧のブラックボックスだが、内容非公開の画期的な回路が仕組まれており、位相角を制御して正常な状態正してくれる。波長の活性化で波形、力率を改善し、オーディオ機器に質のよい電源エネルギーを供給するという仕組みだ。「性能のよいスポーツカーに、純度のよいガソリンを入れるのと同じですね」と河西氏は語る。トルクが太くなりエンジンが噴きあがるのは当然だ。ターボで加速されたようでもあり、アンプのボリュームを絞ってもエネルギーが細くなることのない驚異の電源装置である。「理論的には電源波形がきれいになり安定するので、それだけコンポヘの負担も軽減されます」電圧が下がってトランスがうなることもなくなるわけである。 だが試聴にあたって、先入観を植えつけるとはしたくないという。先に理論を知らされ、理論だけで購入してしまうと期待が大きいだけに、¨こんなはずじゃなかった¨と落胆することもしばしばだ。 「できれば理屈で売りたくないですね」と、論より証拠、まず聴いてもらう。そして中身を非公開にしたのも、AiTECらしいアイデンティティであろう。 壁コンに差し込むだけで所定の性能が得られる綿密極まりない音像のテクスチャーが出現する改めて筆者宅で使ってみた。新たな発見は微細情報がぐんと際立ってきたことだ。小音量でも音痩せせず、壁の向こう側のエネルギーまで浄化されたのではと思える、クリーンで瑞々しさに溢れる音だ。ジエニファー・ウォーンズのボーカルもソロ楽器も力みがなく、ふっと軽やかに感じられる。定位も目然で、LYNXの風のようなフルートにしばし聞き入った次第だ。 電源の浄化が効を奏していることは明らかだが、管弦楽やビッグバンドでのぐっと力強くマッシブな表現にも感心する。エネルギーそのものが増量し、ピークがさらに伸びてぶ厚いフォルテが私を包んでいた。まさに剛軟自在。ソースを選り好みせず、音楽のダイナミズムを余さず引き出してくる印象だ。これが大規模な電源装置なら分からないでもないが、ちっぽけなΛ5・3のどこにそんなポテンシャルが潜んでいたのかと、謎は深まるばかり.....。 部屋のコンセントのどこにさしても、全部の機器に効果が及ぶのも、河西氏の指摘とおりだった。これはすごい。Λ5・3がひとつあれば十分なわけだが、試しにもう一台追加したところ、さらに目が覚めるような変化に体中が熱くなった。音場はいっそう三次元的に拡大され、綿密極まりない音像のテクスチャーが出現する。オーディオと音楽との垣根がとりはわられたかと思うほどだ。 これは奇跡の電源フレッシャー。音の革命である。革命の興奮をあなたと共有したい。 |